ブロムシュテットがN響を掌握した月の最後の公演にいった。演目はシューベルトの「未完成」と「ザ・グレイト」の二本立て。

チケットを前の日から振り替えて、せっかく持っているのだからいかないとだめだとおもった。しかしおもいだせば、静かに音楽をきくことのできる気分ではなかった。頭のなかが騒音でみたされていたのだ。ホールをおとずれて最後まで滞在こそしたのだけれど、かなしいことになにかをおもいだすことができない。ただいって、座ってすごして、それだけというように。せっかくの豊かな時間をからっぽの時間にしてしまった。

頭をまっさらにすることのできる時間をえることのむずかしい日だった。空気はいちどに冷えて秋はいっきに終わりかけになった。秋晴れとよべるような日はまだみてもいない。眠っている時間はおだやかでいることができるから、すこしでも眠るためにプールにいって身体をつかれさせよう。そういう日とのみした。