たのしいバイクの冒険の思い出のはなし。

天気がいいからバイクに乗った。環七を北に向かって走り出して、練馬、足立、葛飾、江戸川とぐるり時計回りに丸を描くみたいに走って、葛西臨海公園にぶつかった。ぼんやりして公園の駐輪場の入口を見過ごしてしまって、そのまま通り過ぎた。公園にはいりなおすよりは羽田空港で休憩することにしようとして、臨海道路という道をとおってみた。

臨海道路。外国の道路みたいに信号が少なくてひろびろした道がまっすぐ走っていて、その先におおきな橋がつながっていた。海をまたいでぐんぐん高いところにのぼっていって、正面に真っ赤な夕焼けと都心の影がみえた。飛行機の窓からみえるみたいな景色におもわず歓声をあげてから、しみじみみとれた。あんまり美しくてじっくりみようにも、橋のうえでは停車できなく写真も撮れない。せいぜいじっくりみつめて、みつめた先から景色は通り過ぎていった。目に見えるものはなにも残らず、目でみたものの美しさだけ強烈に記憶した。

その橋の名前が東京ゲートブリッジだと帰ってからおぼえた。夕焼けをみるには絶好の場所だということもあとからわかった。たまたま通ったときに、天気と時間のもっともよい組み合わせと鉢合わせて、いいハプニングだったとおもう。たのしいバイクの冒険の思い出のはなし。