茨城旅行にいった。金曜日を休みにして、つくば市、笠間市、石岡市、土浦市とめぐりました。
初日は大雨でした。もよりの駅前までレンタカーを取りに行くのに、出発する前から靴がずぶ濡れになったらいやだなあといって、防水の登山靴をはいて出かけました。でも朝こそ大雨で、昼には関東一帯で雨はあがってくれた。
バイクを車検に出したときにETCカードを手元に残すのを忘れてしまって、そのせいで都内から高速道路にのるのがすごくむずかしくなってしまった。カーナビがそこから乗れといっているインターチェンジはすでに無人化されていて、一般レーンが廃止になってもう乗ることができない。では代わりにどこに向かえばいいかということはどこにも書いていなくて、カーナビもどこからなら一般レーンで乗れるかを教えてはくれない、というように。埼玉にわたって鹿浜橋からようやく乗れました。
金曜日の昼間の常磐道は渋滞こそしていなくても車は切れ目なく走っていて、追い越し車線にいちどはいってしまうともう走行車線にはもどりたくなくなってしまいます。追い越し車線を走り続けたせいで覆面パトカーに違反を切られたと友達に教わったことを思い出したりして、ときおり車線をうごきながら、だいたい追い越し車線にいるやりかたで、谷田部まですぐにつきました。そこで昔と変わった住宅地をみて、スーパーの品揃えをみた。子どもたちがプリン公園と呼ぶプリンみたいなオブジェがある公園でプリンにのぼった。
つくばのご夫婦がDIYで立ち上げたログハウスの喫茶店で、ナポリタンを食べます。スピーカーもたぶん手作りの、雰囲気のいいオーディオでモーツァルトを流しています。あまりおおきな音でないけど、天井が高いのがたぶんよく音を鳴らして、うるさくない音量でも充実して響いていました。ディベルティメントがかかっています。ナポリタンもコーヒーもアイスとプリンもおいしかった。すごくおいしかった。
笠間にそのあと走ります。工芸の丘という陶芸施設でろくろ回しの体験。意外と固い泥を、脇をしめてこねてもなかなか思い切りが悪くて動かないのを、先生が手を貸してくれてグッと形を整えるとスルスルっと生き物のように動いて思い通りの形になっていく。泥なんだから、間違えたらもういちどやりなおせばいい、なんておもっていると、すっかりもとにもどしてやりなおせることばかりでないと教わりもする。薄くしたものをもういちど厚くすることはむずかしいけど、厚いままでは形にならないから薄くしなければいけない。なにもしなければなにも迷い悩むことはないけど、それではなにも出来上がらない。とにかくイメージを固めて、泥をこねる。考えながらこねる、こねる。そんな調子で、おおきさと深さのあるお皿をひとつと、あまった泥でちいさい一輪挿しをこねた。木の葉色に塗って焼いてもらうのは施設におまかせさせてもらって、三ヶ月後に作品を配達してくれるということでした。じぶんでこねる体験をしたあとで、お手本や売り物の器をみると、なんてみんなちがって、みんな上手なんだろうとおもいます。道具をつくることのたのしさ。えらんでつかうことのたのしさ。魚を盛る皿がなかったなあといって、売り物の器もふたつえらんでおみやげにしました。
石岡市に移動して、ホテルにチェックインします。ホリデーインみたいな見た目の駐車場付きのちいさなホテルで、1階にはビストロがはいっている。そこでごはんを食べてもよかったけれど、そこは二軒目にとっておくことにして駅前にいってみようと、あるきます。駅までの道はシャッターがおりた建物がめだちます。駅前の交差点まできてようやくいくつかの飲食店があって、でもあかるい照明が目立たせているのは、他の町にもみえるチェーン店のようです。古いビルがおおいなか、新しいビルは葬儀社のものです。
駅のなかにある、ちいさな飲食店街の、ちいさなトラットリアで夕食。10席くらいのお店をひとりでまわしている。ビールをたのんで、ピスタチオ、レバーペースト、生ハムなど。続けてポテトサラダ、トマトのマリネ、おおきなハーブソーセージ。さいごに川海老のペペロンチーノ、そしてトリッパ。柚子しらぎくという、リモンチェッロとおなじカテゴリでメニューにのっていた、ゆずのリキュールを炭酸割りでのみました。どれもおいしいことこのうえなし。目の前で料理してあつあつのお皿を出してくれる料理人さんはお店のオーナーでもあって、子どものころから石岡にいらっしゃるそう。かならずしもにぎわいのある繁華街というぐあいのならびではないものの、ここは石岡でもっともいいお店のひとつであるということは許されるでしょう。
二日目の朝ごはんさがし。国道6号沿いにスターバックスがあって、その向かいにローカルチェーンのコーヒー屋さんがある。そこは店内はひろびろとして静かで、コーヒーは安くおかわりができて、モーニングセットがあり、あんバタートーストを食べられる喫茶店でした。朝こそ静かな喫茶店ですが、ファミレスのようなメニューも充実していて、きっとお昼からはレストランとしてにぎわうでしょう。
いばらきフラワーパークに向かいます。国道6号が混雑しているので、カーナビの順路からははずれて、側道から農道にはいって、うつくしい田園風景のなかをはしります。この日は朝こそ曇り空で、ホテルを出るときには朝まで降った雨の名残りが車に残っていましたが、朝食後にはすっかり快晴です。空と雲と森がうつくしいコントラストをつくっています。
いばらきフラワーパークは、バラの見頃が終わりかけて、満開の時期はすこしすぎたころです。でもまだまだ充実した咲きぶり。多種多様なバラが、あちらでは木を並べ、こちらではつるを這わせ、トンネルや階段を修飾して、まぶしいかわいらしさです。大量のバラをみるにつけて、はじめはただバラの群生とだけみなしていたものが、色も形も咲きぶりも品種ごとにまったく異なって、日進月歩のバラ開発のたまものをかんじさせます。ガーデンツアーに参加して、ガーデナーとしてはたらく職員さんが園内のバラをあちらこちらと歩いて、いろんなバラを紹介してくれます。あれはクリスティアーナ、香りもよく形もカップ型でよい、繰り返し咲きで春より秋の花が少ない。これはノックアウト、強い耐病性をたずさえて00年代にさっそうと登場した歴史的な品種。夏の剪定と冬の剪定。浅い剪定と深い剪定。地植えと鉢植え。などを熱心に語ってくれます。また参加者のがわでもバラの飼育に熱心で知識を深くもつかたがたがみえました。たのしく話している様子がうらやましくもみえて、次に住む家には庭がほしいということを考えずにはいられません。ガーデンツアーはさいごにバラを一輪摘んで持ち帰らせてくれます。ルビーフラワーカーニバルという品種の、ちいさな赤い花をたくさんつけているところから、まだ開ききっていない花を選んではさみできって、ちいさな瓶にさす。それをだいじにもって園内をあるくのもたのしいものでした。お昼ごはんはパン屋さんで常陸牛のちいさなハンバーガーとスコーンをたべます。午後もつづけて園内をあるきまわります。
夕方までに都内に用事があるのではやめに帰るのですが、その前に土浦の老舗のどらやき屋さんにいきます。志ち乃の土浦本店で、おやつのどらやきとおみやげのどらやき。おやつはアイスどらやきなるものをたべました。冷凍庫から出したてをかじったものでまだ固い気もしたけれど、かならずまたやってきて別のフレーバーのやつも試さずにはおれません。田んぼの真中にたったお店は、売り場のスタッフさんだけで5名以上、加えて調理エリアにも5名ほどが立ち回っている様子です。地元で愛されるお店をひとつしれたことがうれしいとおもいます。ここにはまたやってきたい。
土浦北ICから高速道路にのって、守谷ですこしやすみながら(いろんな個性のバイクが休憩していて駐輪場がみものでした)、鹿浜橋で降りたらあとは環七をまっすぐ。そうやって帰りました。