週末の2日間をつかって横浜にいきました。目的はトリエンナーレをじっくり見物すること。

このトリエンナーレをみにいくのは三度目にして、いつもは半日で駆け足で回るところ、こんどはゆっくりながめることをこそ大事にしようとおもって、金沢八景の海のそばのちいさな旅館に一泊する予定を組んでおとずれました。

土曜日の昼前にみなとみらいに着いて、横浜美術館でフリーパスを手に入れて、手始めに館内を見て回ります。エスカレータをあがってすぐ、ラファエラ・クリスピーノさんの「おおきな絹布に野草を写した」作品。富山妙子さんの展示室「わたしの解放」は1920年代から東日本大震災以後の時代までを生きた芸術家の長いキャリアを濃く凝縮した部屋。魯迅の木刻運動と李平凡の非凡な版画。ノーム・クレイセンの、マルボロの広告のために西部のカウボーイたちを撮影した「クリフ・ジャンパー」「スリッカーチェイス」「サンセットループ」。石巻の志賀理江子さんが、同地の猟師の小野寺望さんと話したことのパネル、東北中にある飢餓供養塔、飢えの恐怖を抑圧する無意識、1783年の天明大飢饉。ジェレミー・デラーのプロジェクトで、1984年のイギリス・オーグリーブでの炭鉱ストライキを20年後に再現した映像作品。

商業施設のレストラン街でたべた生パスタ。食べ放題で食べた9個のパン。馬車道までのじりじり暑い道。うつむくふたりのペッパーくんと、ひとりしゃべって踊るもうひとりのペッパーくん。山形トゥイークスターのメモパッド。大井競馬場のフリーマーケットの絵と、スーパーインポーズされた「わさび」の絵。高円寺のリサイクルショップ。横浜駅の大混雑。京急線の大混雑。金沢八景の海。しずかな和室。グーグルマップの評判がすこぶる悪い駅前のマツモトキヨシ。「ととや」の本マグロ、クロムツ、もずく、みょうが、にしん塩焼き。

朝、タリーズで勉強する少年たち。中華街の小雨。愛群の牛バラ煮ごはんと海鮮焼きそば。児島善三郎の油彩、「初夏」「長崎風景」など、田園と山並み、素朴な線と色、未完のまま完成した絵。縄文土器。ボタンを押すと鳴るベルのけたたましさ。すぐそこから聞こえる爆撃音があたりまえになってだんだん意識が向かなくなること、ふとそのことに気がついてはっとすること。タリーズのアップルパイ。丸善のニーチェ。スニーカーのバーゲン。