東陽町の試験場で、新しい資格の載った免許証をもらってきました。
教習所でもらった書類を提出して、支払いをして視力検査を受けて、引換券をわたされるまでが思いのほかとんとん拍子に進んだもので、案外てきぱきおわりそうだぞと皮算用をきめこみました。
現実にはそのあとに、150分の大待ち時間を待たされました。噂に聞くところでは50分くらいで交付されるはずのようです。
ひとえに持参写真を使って発行してもらったためです。書類受付のところで、持参だと時間かかりますよお、と言われたけれど、まあ少しくらいなら大丈夫です、といって申請したのでした。時間がかかるといっても、十分で終わるのが三十分かかるくらいの変化を想像していました。長くとも一時間くらいなら待ってもいいだろうとおもったものが、さらにその倍もかかるというのは大誤算です。
写真は教習所の入学のときに撮られたマグショットです。申請用の証明写真として、卒業するときに書類と一緒に配ってもらっていたのでした。いい身なりをして写っているわけではありません。どちらかというと生活感のある写真です。でもその余計な力のない余裕が気にいっていて、どうせならこの写真で作ろうとおもったのでした。
ともあれ、交付まではひたすら待つ時間でした。しかも待合室はとんでもなく暑く乾燥していました。ダウンジャケットを着ていられなくて、脱いでも脇の下がじわりと湿る嫌な感じがしました。外は木枯らしで寒いくらいなのに。待合室のすぐ横の食堂で唐揚げ定食を食べました。それでもなお呼ばれません。強すぎる暖房が酸欠をうながして頭痛がやってくる予感がしました。まずいとおもっていちど試験場を離れて、しばらくぐるりと散歩してもどってきたら、番号が呼ばれたあとでした。
いやあこんなに待たされるなら持参写真なんて使うんじゃなかった、とおもいながら待っていたものでしたが、できあがった免許証をみるとやっぱりわるくない見栄えです。有効期限も丸四年延長されていました。これは嬉しい誤算です。今年が更新の年でした。あと数ヶ月しか使わない免許証のために長時間待たされたとおもうと痛ましい機会損失に感じますが、あと四年もつ免許証のために待ったとおもえば、そこまで悪くはない気分です。
米粒の小ささで「普自二」と書いてあります。この米粒のために教習に通ったんだなあと奇妙に感動します。ちいさくも誇らしい変化です。
あらためて初心者の気持ちになりますが、はじめて免許をとったときの、便利な身分証が手に入って運転することを二の次にした嬉しさとは異なります。これを使っていよいよ運転するぞという、前向きな興奮があります。