早稲田松竹でゴダールの二本立てをみた。二作目は『ゴダールの決別』。

きれいな映画だとおもった。晦渋な台詞回しで満たされているが、全体として叙情的なトーンがある。湖のほとりに舞台をとって、水とひとの関係する描写がおおくあったことが、ロマンチックな印象をつくっていたのかもしれない。

音は暴力的であった。すこしでもおおきな声による台詞があると、それは割れんばかりに響く。ピアノの不協和音が何十回にもわたって鳴らされる。画面中の人物が会話をしているときに、画面外からその話題とは関係のない叫びが会話をかき消す勢いで落ちてくることも、テレビからきこえる英語音声が象徴的ともいいがたいやりかたでおおきく録音されていることも、暴力的な音響を構成していた。

ギリシア神話に着想をとったということは、上映前に館内掲示資料を読んでインプットこそしたものの、いっさい意識にのぼることはなかった。神の浮気心の表白は、静かでうつくしくみえた。

imdb によると、キース・ジャレットによるショスタコーヴィチの「24の前奏曲とフーガ」が劇伴にもちいられていたようだった。