スター・ウォーズの第八作をみた。
いくぶん大味なところと、シリーズのエッセンスを凝縮した部分が混在している。非常に出来が悪い部分がいくつもあったように記憶するいっぽうで、忘れがたい達成として印象を残した部分もおおくある。
優れていた部分。ルーク・スカイウォーカーが伝説のベールを脱いで、失敗した教育者としての後悔に対峙すること。カリスマ的な存在感を持ったカイロ・レンがはじめてみずからの野望のために立ち上がって戦うこと。それでいて、望む勝利まであと一歩のところでみずからそれを取りこぼすポンコツぶり。その奇妙なバランスを成立させるアダム・ドライバーの支配的な存在感。
悪かった部分。宇宙を漂って生還するレイア将軍。非戦闘員の命を軽くあつかって、爆殺をカジュアルに移すこと。劣勢の反乱軍が自爆特攻を繰り返してそれを英雄視している様子をみるに、さっさと破れたほうがましだと思わせる。すべての計画が失敗して、あまりにもおおくの命が無為に消えていくこと。主役級のキャストの運命に帳尻をあわせるやりかたがぞんざいであること。反乱軍が大劣勢のなかでも指揮系統のヒエラルキーに拘泥して内ゲバを起こしていること。いちどみな滅んでしまったほうがましだというのは、カイロ・レンのいうとおりにおもわれる。
しかしルークとレイアとハン・ソロがみな退場して、いよいよ老人抜きでレイとカイロ・レンの関係がいよいよノイズなく映されるとおもうと、なんだかんだといいながら次作をみることをたのしみにしてもいる。
ライアン・ジョンソン監督は、大学一年のときに新宿スカラで『ルーパー』をみた思い出がある。『ブレイキング・バッド』の第三シーズンで、ハエの話を撮ったのもこの監督であったことを知った。名前をきちんとおぼえられていなかったが、作品を印象に残す作家であるようだと意識するようになった。