スター・ウォーズのスピンオフ映画を観た。監督はロン・ハワード。
ブロックバスターのノリに波長があってたのしく鑑賞した。あまり期待せずに観始めたのは『ローグ・ワン』の後味もあってのことだったけれど、こちらは打って変わって最後までスクリーンにひきつけられ続けた。
ピンチを迎えて、それを脱するという典型を繰り返す構造はおなじであるときに、なにが差をつくるのだろう。すくなくともこの映画は、擦れっ枯らしの決り文句をキャラクターに話させていないことはあげられそうだ。それ以外の成分は、よくわからない。
正直なところ、冒頭からしばらくは、いくぶん駆け足の展開と、それを促すための情緒の省略、そしてどうも画面全体が暗くて役者の表情がよくみえないというライティングのトラブルがあって、あまりリズムに乗っていなかった。そのままであったら失望が待っていたところ、最後には盛り返して満足せしめているのだから、おもしろい。
キャラクターの魅力が立っていてよかった。主人公はおおむねよく知られているとはいえ、別の役者が演じているわけだから、新しいキャラクターを作り直すようなところがあったはず。しかも、先行する補助線を切り捨てないように造形する必要がある。それをうまく処理しているとおもう。チューバッカとの出会いは、やや駆け足だった部分にあたるのでやや消化不良気味だが、その後の関係は安心してみていられた。とはいえ、こう書いてみると原作が省略していた細部をうまいやりかたで埋め直すことは不可能であるようにもおもわれる…。
コアクシウムを奪取した一行が帝国軍に鉢合わせて、メイルストロームという空域に逃げ込むところもよかった。タコのような超巨大生物に襲われたうえ、巨大な重力点にひきつけられる必死のシーン。ここは特殊撮影のスケールがおおきく、船内のどたばたと、それでいて慎重にならざるを得ないお膳立てが緊張感をバランスさせていて、名場面だったとおもう。
最終盤、繰り返し言及されてきた信頼という言葉が、二重三重の裏切りによって前景化するところがよい。いくつかの関係は、決着をつけないまま幕を下ろすのもいい。ホログラムで登場した暗黒卿の手先のライトセイバー使いは、よく知った姿であるものの、ぼくのなかでの作品の時系列にはそぐわなくて、謎が残った。たぶんウィキペディアをみればわかるのだろうが、これは最新のナンバリング作品を観るまでお預けにしておこう。
ルークの物語にあわせて反乱軍と帝国の戦いをみるにつけ、いつも苦境を強いられる反乱軍の物資が枯渇しないのはどうしてだろう? と非ファンタジーの発想を持ってしまっていたことは事実。そのことの根拠が部分的にせよ説明されていると感じた。もっとも、それを説明したところでどうした、という思いもある。おもしろいものはおもしろい、ということにとどめておこう。