スター・ウォーズのスピンオフ映画を観た。『新たなる希望』の前日譚にあたる。
冒頭に帝国幹部が訪れるというのであわてるある科学者の家族の描写がおかれる。エゴイズムを隠しきれない父、意味もなく死に急ぐ母、押し黙る女児。駆け足気味にクリシェを乱発する出だしに非常に悪い予感が満ちた。
そしてその予感は誤らなかった。無毒な喜劇である。言葉ばかりがうわすべりして、映画の描くべきものが描かれていると信じるに足る瞬間はない。
ジェダの街がデス・スターに滅ぼされる表現はよかった。衝撃によって地面はめくれ上がって押し寄せて、砂礫は成層圏に達するまでに高く立ち上る。それは核兵器をいっそう超えるエネルギーの邪悪さをみせていた。とはいえ、これも人間の介在しないコンピューター・グラフィクスに過ぎないときに、やはり人間が映画を作ることの意味は満たされない。
現代のスター・ウォーズのファンが求めるのはこんな粗悪な品質のものということで正しいだろうか?