東京ステーションギャラリーで佐伯祐三展をみた。待ち時間を使って訪れるまで存じ上げない作家だったが、たいへん満足ゆく展示だった。

20世紀の初頭に東京とパリを行き来して活動した、エゴン・シーレと同じ世代の作家である。若くして肺を病んで、パリで客死した。

東京では下落合を拠点にして、日本家屋、テニスコート、レンガ造りの新橋のガードとそこから遠くにみえる人だかりなどを描いた。関東大震災のころの風景は、東京といえど『となりのトトロ』のような空間であったようだ。土や雑草、電信柱のある景色を描いている。ただし電信柱には電線がなく、縦に高く伸びるスケール感を感じさせる。それはノートルダムの高さへのあこがれを日本に探したものといえるだろうか、とキャプションにあった。

パリでは、都会の街並みや壁面広告を好んで題材にしながら、ゴッホの画業をたどってオーヴェールの教会を巡礼していたりする。地面が動き建築が地球に飲み込まれているような歪みが、リアリズムからの独特の逸脱を示している。枯木の枝が動物的な線としてあらわれるのは、のちのポロックのスタイルにもみえて、ぼくの好みだとおもった。