金曜日の夜に、パートナーの家にはじめて誘われて遊びにいった。吉祥寺でアメリカンピザを食べ、アトレでノンカフェインの紅茶を選んで買ってから、小田急バスに乗った。ドラッグストアで歯ブラシを買った。グレープフルーツジュースの入った甘くないお酒を飲んだ。本棚をみせてもらって、カリフォルニアのメキシコ系労働者の資料写真集を眺めた。おそくなるまでおしゃべりをし続けた。シャワーは次の日にあびることにして、おおきなあたたかいベッドで眠った。
土曜日。遅くに起きて、シャワーを浴びた。民家としかみえずに通りすぎてしまいかねない蕎麦屋さんでごまだれの冷たい蕎麦を食べた。そば粉のプリンも食べた。駅前でバラのジャムのポンチキとチョコケーキを買って、家に持ち帰って食べた。食後に強力な睡魔がやってきて、気がつけば日が暮れるまで何時間も眠っていた。そのあいだにパートナーは夕食の買い物にいくのみならず、食材の下ごしらえをしたうえあらかじめ予定されていた仕事をはじめていた。仕事の終わるのをまつあいだ、ひとりベッドに寝そべって佐多稲子を読んだ。遅めのディナーにラザニアとスペアリブをごちそうになった。手軽にテキパキとおいしい料理を作る手さばきに惚れ惚れとした。長い昼寝をしたぶん、深夜まで「現代思想」の「恋愛」と「ブラック・ライヴズ・マター」の号をつまみ読みした。後者の巻末を担当された有光先生のプロファイルが学生時代の思い出に符合する驚きがあった。
日曜日。昼過ぎまでベッドで過ごす。遅い身支度。午後からの外出。いちにち最初の食事がおやつの時間で、しょっぱいものよりも甘いものを食べたい気分だった。コーヒーのほか、プリンアラモードとチョコバナナケーキをひとりで平らげる。そのうえパートナーの魯肉飯もつまみ食いする。電車に乗って移動して、ユニクロと無印で生活用品の買い物。それから餃子屋さんで軽くつまんで、静かな酒場でもうすこし飲む。二杯三杯と進んで、遅くならないうちに帰路についたつもりが、最終のバスは早くもなくなっていて、もう一泊することに決めた。かんたんにシャワーを浴びて、いい香りの紅茶を飲む。
月曜日。ベッドですこしおしゃべりをしたあとに着替える。最寄りのバス停まで見送ってもらって、電車を乗り継いで自宅に帰る。始業時間には間に合うものの、暖房で予熱していない朝の執務室は摂氏4度だった。ダウンジャケットを着てコーヒーで手をあたためながらはたらいた。
4日とも好天だった。あたらしい居場所に心地よさがあった。