右の人差し指の第一関節のあたりにガシッとくちばしで食いつかれた。

爪の根元あたり。手先が冷えていたのではじめは傷がついただけにみえたが、やがて出血もした。

あんがい血管が密集しているらしい。このようなところに傷をつくるのはめったにないことで、なかなか止血しないことを新鮮にながめている。すこし時間をおいて、風呂上がりに絆創膏をとりかえようとしたら、あたたまったこともあってかますます血がにじみでていた。

頭だろうと首だろうと主翼のしたのボディだろうと、わりとどこでも撫でさせてくれるくらいにはなついていたはずなのに、この冬の帰省では妙に気を荒ぶらせているようだ。はじめは逃げ隠れしていたものが、やがて敵意と攻撃に転化した。すこし落ち着いたかとおもって誘引されるように指をのばしたところ、目の色を変えてガブリとやられた。

もっとも、いつもともに暮らしている母と妹さえ、それぞれ生傷をもっている様子だったから、なついているかどうかというよりも単に気まぐれの攻撃であるようにもおもう。それにすこし荒々しいくらいのほうが好ましくもおもう。