i/o The Tour と題された 2023 年の公演シリーズの案内がメーリングリストで届いた。
https://petergabriel.com/news/i-o-the-tour-announced/
i/o というのは、製作中の新作の表題に合わせているらしい。かたや流行技術にうそぶいて騒がしい世相があるいっぽうで、古希も過ぎた芸術家が「基本に戻れ」といわんばかりに i/o と大きく掲げるのは、それだけで居心地よくなるようなところがある。ファナティックなだけかな。
北米の外での公演は 2014 年以来とある。日本には…来ないだろうなあ。
母は彼女の若者時代に、彼と彼の世代の音楽家を好んでいた。のちに命を与えられた僕は、彼女の走らせる車でかかるそれらを聴いて、また歌詞の書き起こしをおいかけて、はじめて英語に興味を持った。その母をここに連れていってあげられたら、命があるうちの孝行を叶えられるのだが。しかし引退を迎えていない田舎の人間にとって、西洋は遠い。
その母はこのまえ、年が明けたらスティングが東京に来るから観に行こうと言ってよこした。ピーターもせめて日本に来てくれたなら、同じように喜んで向かうファンはいるはずなのだけれど、興行よりも表現を選ぶ芸術家にはそれを期待し難いということが切ない。