北野武の『BROTHER』を観た。2001年の作品。

日本人のヤクザが暴力によってロサンゼルスに勢力を築いて、崩壊していく。山本と白瀬の効果的な銃撃によってのし上がっていく様子は、爽快なテンポで描かれているが、常に悲哀がつきまとっている。とりわけ、寺島進の演じる加藤が「危険な男」と名指される白瀬に頼み込んで、一本筋を通すためにみずから明るく命を捨てるところが切ない。それは極道のまっすぐな狂気を象徴する印象的なシークエンスであるのだが、彼の代わりを埋めて白瀬がいくら敏腕を発揮しようとも、もはやいちばんの舎弟がいないという空虚な情感は消えない。

暴力、義理、固い上下関係。血の繋がらない兄弟たちの絆。死に場所の準備。男の世界のこれらのルールは、公開当時でもすでに時代錯誤であっただろうし、いまではもうどうしようもなく有害とまでみなされるべきもの。しかし生きることがむなしくあることと、人は必ず死ぬということを誠実に提示するやりかたは、リアルなのかどうかもわからない極道の描写に美しさを与えている。