新宿の IMAX 上映は秋になって終わってしまった。指輪物語の復刻上映がしばらくあって、いまはアニメ映画を上映している。あいまにトップガンの新旧二本立て上映というプログラムもあったけれど、疲れてしまうそうでついに行かなかった。

前の週に大きい仕事の最初のリリースがあった。つつがなく成功させられたらしいことに弛緩したのだろう、今週はまったく集中を欠いていた。そういうときもある。ここしばらくはレンタル DVD で映画をみることが続いていた。あまり楽しそうな新作映画を見つけられていなかったこともある。しかし映画館でリフレッシュする贅沢な時間を持てていなかったのはたしかだった。

水曜日。なんとなしにグランドシネマサンシャインの上映スケジュールを眺めていたら、『トップガン マーヴェリック』の IMAX 上映をみつけた。最終上映の前日だった。おもわずチケットを取って、夕方から映画館に出かけた。キャラメルポップコーンを抱えながら戦闘機がドカドカ大活躍するのを楽しく眺めた。おどろくべきロングラン作品の見納めとなった。

最新鋭の機体を飛ばすところから始まって、訓練と実戦には F-18 、最後の大脱出には F-14 と、徐々に旧式へと向かっていくことがおもしろかった。過去に目を向けろと諭されている気分になった。技術の進歩によって低く実るようになった果実を食べて満足する前に、どのような進歩と革新がそれを支えているのかを意識せよと。

映画の撮りかたもきっとそうだろう。誰でもビデオを撮影できるようになったいま、プロとアマチュアの技術の垣根は取り払われたかのようにみえるが、例えば『グリード』のような、音さえまだなかった時代の映画が持つ迫真性はあまりに神々しく決して近づくことができない。

「それらしいもの」を「いかにもそれらしく」作ることよりも、前時代の異形の創作物(すなわち古典)をベンチマークにすること。人間精神に到達可能な高みを追求すること。そういうことを言って励ましているようにみえた。