仲のいい美容師さんが格好いいモカシンを履いていた。それどこのやつですか、と尋ねて、クラークスのワラビーという製品だと知った。そのまま渋谷神南のクラークス販売店に行って、黒のを一足買った。

品のいいホールでコンサートを聴いたり舞台を観たりすることが新しい趣味になって、ボロのスニーカーを履いていくのはすこし引け目を感じることがあった。実際のところはみすぼらしいくらいの服装でも出入り禁止になるわけでもないけれど、きちんとした格好をしたいという気分から、まずは靴からとおもって格好いい革靴を探していたのだった。

ピカピカの高級革靴を選んでしまうと、こんどはワードローブとのバランスが崩れてしまいそうで躊躇していたところ、普段履きもできるモカシンはちょうどいい。これを足がかりにして、新しいスーツなんかも見繕って行きたくなっている。

革の性質上、独特な手入れのやりかたがあるということをショップで教えてもらって、特製のブラシ、スプレーと乾燥剤も合わせて買った。あんがい高級スニーカーと変わらないくらいの値段で済んだ。