土曜日はフェスに遊びに赤レンガ倉庫にいった。ライムスター、キャンディタウン、ナルバリッチと3アクトをみた。各組だいたい50分のセットを演じてくれて、つごう3時間気持ちよく身体を動かした。
3年前にお台場のフェスで観たライムスターをもういちど観に行こうとしばらく友達と話しながら、ワンマンは競争率が高くて気づいたころにはすでにソールドアウトしている、ということが続いていた。たまたま見つけたこのイベントは、開催地も予定もちょうどよかった。
気温よし、天気よし、横浜の開放感よし、日帰りできる気軽さもよし。まったく申し分ない。
会場につくとちょうどライムスターの出囃子が鳴るところだった。自分たちだけのものではない観客にヒップホップの楽しみ方を啓蒙するステージングが粋で、しかもそのいっぽうで Run-DMC ばりの細かな掛け合いを披露し、 Shaft in Africa のビートを使い、スチャダラパーの柔らかいカバーで場を和ませた。
キャンディタウンはサブステージに出演した。メインステージよりひとまわり小さいとはいっても、野外で大音量で聞かせる大人数でのマイクリレーは迫力があった。たぶん15人そろっていたんじゃないかとおもう。50分間いっさいとぎれることなく、次から次にラップをしまくっていた。とんでもない音圧の低音の上でハイハットが細かく跳ねまくるトラップ系のビートは、知らない曲でもいちいち格好がよすぎる。最後は R.T.N と Get Light で大盛りあがりして終演。ひとまわり上のイケてるお兄さんたちとおもって聴いていたグループをはじめて近くでみられたことが、音楽のよさとあいまっておおいにはじけた。
ナルバリッチは同伴の友人がこの機に聴き込んで大のお気に入りになったというので、知っている曲はひとつも持たないままだったが、間違いなく優れているだろうと楽しみにしてみた。ジャミロクワイ風の楽しく動ける曲からはじまって、 Mummy-D のゲスト参加もはさんで、 Step It でおおいに縦に飛び跳ねさせられて大団円。友人はいちばんのお気に入りの Tokyo という曲を聞けたことに感動していた。わかりやすく、しかしほどよく捻ったリズムが身体の記憶として残された。そしていまそれらの新しく知った音楽を聞き返してみると、たとえば野外ライブのために、キーボード単体のフレーズにツインギターのユニゾンを加えて音圧を上げるなどの工夫があることを教えられる。シンプルでダンサブルな音楽の格好をしていて、技術的裏付けがかいまみられるところに刺激がある。
青空が見えて、潮風がほどよく吹く、横浜のもっともよい気候からはじまって、ナルバリッチのステージの途中で、夕暮れ、日没となった。夜の雰囲気もいい。しかし、たがいに次の日の予定もあるから、ここまでをみていさぎよく撤退する。
ワールドポーターズでハワイアンを食べた。友人の、退職、起業の準備、入籍の予定、世界旅行の計画、などをわくわくする話を聞かされた。こちらはなにをやっているんだろう、と嫉む代わりに、自分のペースを維持してただのんびりとやろう、という爽やかな気分を得た。夏のおわりに開放感があった。
桜木町から横浜駅まで、根岸線は異様なすし詰めだった。こんなにひどい満員電車はドイツに発って以来すっかり忘れていた。
満員電車の不愉快は別にしても、あんがい疲れるものである。10年前、東京に上ってきた最初の夏休みに、フジロックに遊びにいった。前夜祭から最終日のヘッドライナーまで3泊4日を、傾いた地面に張ったテントで眠っては遊び倒していたそのころに比べれば、体力の最大量が減っているのは明らかだ…。