今年の大河ドラマはめっぽうおもしろいという話を教えられて、この月から NHK オンデマンドを契約して、駆け足で最新話まで追いついた。ちょうど頼朝が物故したところ。13人というキーワードは次回から大きく取り上げられることとなり、いよいよおもしろく、そしてグロテスクになっていくところとみえる。はじめは苦笑いのよく似合っていた小栗旬が、いまや権謀術数のために目を怖く光らせているということが、その過程を一気にみてきたからこそよくわかる。そしてそれをこの先はオンタイムで楽しめる。
テレビドラマはほとんど観ないたちだから、国内の俳優には明るくなく、名前は知っていても顔が思い浮かばない、ということもしばしばある。そういうときに、このような大型タイトルで、若手から大御所まで何十名の役者が一同に会する作品をみられるのは、それだけでありがたい。知らなかった名前を知るのも楽しいし、知っていた名前に顔が与えられていくのも楽しい。
片岡愛之助、佐藤B作、秋元才加、三浦透子、栗原英雄、江口のりこ。このひとたちはここで観られてよかった。この先も気にして観たい。宮沢りえ、田中泯。このひとたちはこれまで観ずにいてごめんなさい。田中泯は昨年に舞台を観にいくはずだったが、中止になって流れた。それもやがて行かねば、と思い出している。
市川染五郎の凛とした佇まいにはとりわけ驚いた。17歳というが堂々たるもので、短い出演にも関わらずいちじるしい印象を与えた。なにを知っているわけでもないのに、歌舞伎の舞台で眺めてみたいとまで惹きつけられた。すごい。
松平健は平清盛を演じており、50年前の『草燃える』でほかならぬ北条義時を演じていたとのこと。その『草燃える』もいまやオンデマンドでみられるし、小学生のときに放送していた記憶がはかなくある『北条時宗』も、松山ケンイチの『平清盛』もある。
おととしの秋ごろに、おなじようにひとに勧められて『真田丸』を全話鑑賞した。そのときには、新井浩文のスキャンダルでオンデマンド配信が凍結されていると知って、ツタヤに通い詰めていたのであった。
三谷幸喜の脚本作品のつながりで、香取慎吾の『新選組!』もみたかったところ、これはオンデマンドにはない。あれもこれもあるというのに、ついないものねだりをしてしまうから都合のいいものである。しかしいまや購読を済ませているから、あれこれと眺められるのがそれだけで楽しくある。『ストレンジャー・シングス』よりも国産ドラマをみるのがいまはしっくりくる。
『真田丸』を借りていたツタヤは潰れてしまったし、そのころの部屋からも引き払った。10年使ったテレビは液晶画面からグリーンの奇妙な線が消えなくなってしまって、棄てた。どうせテレビドラマを観るなら、新しくテレビも買おうかなと寝ぼけたことをおもっていたが、結局のところ iPad で適当にみられる気軽さがちょうどいい。