「入門線形代数 (‘19)」の直接の続編講義である。「入門」では、行列演算の基本事項から「固有値を求めて対角化する」というところまでをカバーしていた。今期の講義では、幾何ベクトルから再出発して、各種の変換を学んで、ジョルダンの標準形を求める。また2次多項式を合同変換して形状ごとに分類する手続きも与えられた。
テレビ講義の実施が技術的にクリアされているときに、どうしてあえてラジオ講義の形式をとろうとするのかは理解に苦しむが、この講義ではテキストの情報量と講義の情報量が適度に一致していて、厳しく苦しめられることはなかった。主任の隈部先生は、放送大学の副学長も務められているということにつき、講義をインターネットで配信して教育するとうことにさぞ腐心いただいたのだろうと想像するにつけてもありがたい。
最終講義では、半期の学習内容を復習するためのポイントを列挙して10個提示されるというサービスもあった。もちろん、これが学んだことのすべてではないが、期末試験に向けて、あるいはやがて必要に迫られて手引としてテキストを読み返すときのガイドラインとして便利に使えるようにおもう。
- 直線・平面を表す式を理解すること
- 実ベクトルの内積、複素ベクトルの内積を計算できること
- 平行四辺形の面積、平行六面体の体積を求めること、外戚の計算ができること
- 正規直交基底を求めること
- 直交行列・ユニタリ行列の性質を理解すること
- 2つの基底が与えられたときに基底の変換を表す行列を求めること
- 基底の変換が与えられたときに線型写像の行列表示がどう変わるかを理解すること
- 与えられた基底における線型写像の行列表示を求めること
- ジョルダンの標準形を求める手続きの骨組みを理解すること
- 2次形式や2次多項式を行列を用いて表すこと