渋谷のセルリアンタワーに、菊地成孔の生演奏を聴きに行った。DCPRGの解散公演を聞きにいって以来で、ビッグバンドからコンボへ、エレクトリックからアコースティックへ、スタジオコーストからジャズクラブへ、と形式としてはかなりソリッドな催しになる。ギタートリオにテナーという編成はめったにないとのことで、それも楽しみにしていった。
開演前、薄いピザをつまんでいたら控室のほうからテナーの音が聞こえてきて、わくわくしていた。しかし始まってみるとサックスの出番はセットの後半までもちいられず、スキャットでの長いアドリブを聞かせてもらえることになった。それは予期していなかったけれど、うわあなんかすっごい、という気分で聴いた。
終盤までいっさい地の語りをせずに演奏に徹していて禁欲的にみえたが、終盤からアンコールにかけては楽しいマイク捌きも聴かせてくれた。足首を故障した話をユーモラスに話していた。
ステージからみてもっとも奥まった席に通されて、席からの見通しはよくなかった。DCPRGの解散ライブのときも前の席に変な踊り方をするひとがいてステージを激しく遮っていたので、目をつむってしまって身体を耳にして聴くしかなかったことを思い出した。二度続いたのでおやおやという気分もあったが、観にきたのでなく聴きにきたのだからまあいいか、と開き直っていた。実際、目を閉じたほうがちゃんと聴けるのだろうとはおもう。とはいえ、たまにステージに頑張って目をやると、ハンドサインでキューを出したりしている様子がみえて、そのセッション感が楽しそうにみえたりもして、ちゃんと近い席で観られるのにはやっぱり憧れる。