木曜日の夜から日曜日まで、沖縄にいた。大学からの友人たちと6人での旅行をした。最後にあつまったのは去年の夏のことで、ズーラシアにいって横浜でカラオケをした。そういう普通の遊びを普通にやっている友達。
ばらばらの飛行機をとって訪れた。僕は午後を休みにして夕方の便に乗った。2年ぶりのフライトに思わぬ感動をえた。夕焼けがもっとも美しい時間の空をみた。うみほたるPAをみた。江ノ島をみた。雪をかぶってみごとな富士山もみた。日没の瞬間、マジックアワーというやつも空の上で堪能した。
最終便で到着する面々を待って、国際通りそばのアフロネストというレゲエクラブ風の店で飲んだ。23時を過ぎてもやっている店がここくらいしかなかった。3年前にはじめて那覇を訪れたときに、観光案内の地図でひときわ異彩を放っていた店で、訪れるのは二度目になる。沖縄料理が出るわけでもなく、台湾風とジャマイカ風の料理が奇妙にメニューに並ぶ変な店だが、地元の若いクラバー風の連中がテキーラで盛り上がりにやってきており、地域にすこしだけ溶け込んだ気がした。
初日はバラバラに、翌日からは Airbnb で今帰仁村に木造で瓦屋根の平屋を借りて泊まった。黒の野良猫が居着いていて、ここを縄張りにして宿泊客に餌をねだっているらしい。地域の小さなスーパーで地産の食材とキャットフードを買い込んだ。同行者が調理してくれた島豆腐のゴーヤーチャンプルは新鮮のためか苦味もそう強くなく、絶品だった。地元の漁師の店でクブシミというデイヴィ・ジョーンズみたいな容貌のイカを求めもした。店のおかみさんは東京弁はたどたどしく、沖縄言葉は真に音楽的に話してくれた。このイカも同行者が上手に捌いて、いつになく食べごたえのあるそうめんとステーキに仕上げてくれた。
美ら海水族館にもはじめていった。ジンベエザメの飼育で国際的にも名高い施設と知った。サメとエイ、正確には軟骨魚類の研究者が所属していて、その繁殖や食事にまつわる論文も多く発表しているようだった。優雅に泳ぐその姿をみるのはもちろんのこと、研究成果を一般向けの言葉で平易に知らせてくれる展示が充実していた。
天気には恵まれなかった。ぐずついてばかりいた。そうはいっても短パンにかりゆしを着ただけの格好でも過ごせるくらいの暖かさはあった。本島の海開きは4月からとのことで、海水浴はできなかった。砂浜で急な大雨に見舞われさえもした。みんなでずぶ濡れになりながら慌てて車に駆け込むことになったが、それは残念であるというよりも、かえっていい思い出になる気がした。
この4月で大学にはいってちょうど10年になる。言い換えれば、10年前のいまごろ東京にやってきて、はじめはひとりぼっちだった。そこからできた友達といまも楽しくやれているのは幸せなこととおもった。似た感慨を先日の結婚式でも持った。こういうセンチメンタルな気分でいる自分を発見するにつけ、いよいよ人生のひとつの節目を越したことをおもう。