大学の同級生の結婚式と披露宴に招待されて、いってきた。

新入生向けのガイダンスのあとで、なんとなく同じ学科で集まりつつ、まだだれも友達がいないので、ソワソワしていた。そのときなにかの拍子にキューブリックの話をして盛り上がって、映画が好きなものどうしとして意気投合したのだった。

他大学の映画サークルの新歓に潜りにいったことと、ロジャー・コーマンの上映に連れて行かれたのが最初の思い出である。夜中の路上で素材の写真を撮りあつめて、フォトショップで加工して遊んだりもした。切磋琢磨というほどシビアなものではないなりに、互いに教え合うことのできる関係が心地よかった。いまにしておもえば、ぼくのひとつの青春であった。

大学で最初のともだちのひとりで、東京でできた最初のともだちということにもなる。出会ってちょうど10年となる。結婚の知らせは半年前くらいに、本人から電話をよこしてくれた。そういう律儀なところも彼の美点のひとつである。

この2年間はほとんどまともなパーティーがなかった。久しぶりの祝祭が、長い友人の人生の節目を刻む式となると、いちじるしい昂揚感があった。式を挙げる当人たちにとっては、ややこしい社会情勢の変動に胃を痛めた夜もあったろうとおもうが、それでも踏ん張って敢行してくれたことに感謝と敬意があふれる。

ひとの結婚式に出るというのは、親族のものを含めても経験がなかった。初めてのことにつきどうしてもそわそわしていたが、彼と彼の選んだパートナーの工夫が散りばめられて、素敵な式典であったとおもう。あっというまに過ぎてしまったことだけが心惜しい。

終宴して、同席していた大学の同級生6人で、現実離れした時間を現実に引き戻そうといって、晴れ着のまま東京ドームシティのジェットコースターに乗り込んだ。酒が残ったままのコンディションで乗り込むまではあきらかにハイな気分だったが、2分後には苦しみの涙があふれていた。