世界中を見てまわりたい。一年とすこし前まで、事実そういう生活をしていたことがすっかり遠い過去のことに思える。
ベルリンにいた僕は COVID-19 がヤバイと聞いて早めに撤退したのだった。あとになってこれは英断だったとよく褒められるし、事実これ以外ありえない決断だったと評価している。とはいえ、ここまでひどいことになるとは思っていなかった。しばらく落ち着いたらふたたび繰り出そうと思っていたところ、国外どころか狭い狭い家の外にすら出られない生活で息がつまりそうだ。
世界のほんの片隅しか知らない。そうと知りながら、その片隅でぼんやり暮らすのは苦しい。広い世界があると知っているのに、そんなものなどないというふりをして生きていきたくはないし、もっとアクティブに世界を飛び回りたい。それができる職業についているのは幸運である。世界が安全といえるようになったら、いつでもその生活に舵を切れるように準備だけはしておきたい。
そういう熱い気持ちのことを、このエッセイを読んで思い出したので、忘れないように書いておく。
プログラマが変わっていると思うのは、遠隔地や旅行中でも容易にできる仕事でありながらみんなそうしないということだ。もちろん例外はあるだろうけど、この旅行中に同じようなことをしているプログラマには一度も出会わなかった。残念なことだと思う。プログラマ仲間への僕のメッセージは、言い訳するのをやめて実行しようよ、ということだ。人生一度しかないんだから。素晴らしい体験になるだろうことだけは請け合える。