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The dark side of .io: How the U.K. is making web domain profits from a shady Cold War land deal – Gigaom (https://gigaom.com/2014/06/30/the-dark-side-of-io-how-the-u-k-is-making-web-domain-profits-from-a-shady-cold-war-land-deal/)

要約する。

インド洋チャゴス諸島。モーリシャスの西に位置し、アフリカから奴隷を入植させて発展した島々は、奴隷解放を経て、1960年代までにはココナッツ農園を軸とした経済と、それに携わる島民の暮らしがあった。

冷戦構造下で、アメリカ合衆国はイギリスに軍事拠点となる無人島の貸与を要求する。そしてイギリスはあろうことかチャゴス諸島の住人たちを秘密裏に強制退去させ、それを無人島と偽ってアメリカ合衆国に貸与する。

ふるさとを奪われ、冷戦終結後も帰ることを許されなかった元住人らは、補償を求めて訴訟を起こすが、その成果は梨のつぶて。結果的に、彼らを守ってくれる権力は地球上のどこにも存在せず、彼らはただ難民として各地に散らばって暮らすことを余儀なくされている。

.io ドメイン

.io とは Indian Ocean の略である。そして .io ドメインは本来、このチャゴス諸島を含むインド洋諸島の人々に割り当てられたものである。

しかしその .io ドメインの管理権を握り、そこから収益を得ているのは他ならないイギリスの官製団体である。つまりイギリス政府によるチャゴス諸島への帝国主義的介入は、冷戦時代の政府が下した過去の判断の問題ではなく、現在進行形で続いている不当な収奪なのである。

こう書いている僕にしろ、.io は有名サービスもこぞって使うドメインであるから、そもそも地域別ドメインのひとつであるという認識すら持たなかった。しかしこれを知った今となっては、 .io ドメインの利用を選択するという判断は否応なく政治的色彩を纏って見えてしまう。

これは社会システムの歪みであり、僕たち個人が立ち向かうには巨大すぎる問題だ。言い換えると、この状況を是正することは事実上不可能と言わざるを得ない。

より多くの善をなすために

上に書いた理由により、すでに .io ドメインを運用しているとか、これからどうしても .io ドメインを取得したいという組織についても、それによって非難したりはしない。

その代わり、ささやかな提案をしたい。

あなたが .io ドメインを運用することで英国政府に支払う代金は本来、この人たちこそが手にする権利があるべき代金であると言える。

そして下のウェブサイトはチャゴス諸島から強制退去させられた難民たちを支援する募金のページである。

[Chagos UK Chagos Support Association (https://www.chagossupport.org.uk/)](https://www.chagossupport.org.uk/)

偽善と思われるのは本意でないから、これ以上はなにも言わない。